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「はァ? アンタの方こそ誰に対して口聞いてんだ?」
男以上に男らしい気迫。
「あ? 何だテメェ。遣るっての―――」
大柄な少年の言葉が途中で詰まる。
その理由は、舞夢の耳元にあった。
狩野 舞夢の両耳には、計10個のピアスが付いていた。
主な素材は銀で、ルビーが埋め込まれた小さなピアス。
それが、この世界において何を意味するのか。
この世界には、魔力が自ら制御できない人間がいる。
そんな人間は稀じゃない。
半分の確立で魔力暴走を引き起こす魔法使いがいる。
そして、舞夢もその一人だった。
そして、魔力を鎮める事が出来るのは、主に銀製の『アクセ』である。
それは、『アクセ』に添えられる宝石で魔力を鎮める強度が変わる。
最も強力な宝石はダイヤモンドだと言われているが。
ルビーもそれなりに強力だ。
その『アクセ』を計10個も付けている。
それがどんな意味か。
普通の魔力を秘めた人間が必要以上の『アクセ』を付けると、魔力を無駄に吸い取られて気絶してしまう可能性がある。
この事を踏まえた上で、狩野 舞夢はこうして立っていられる。
「別にいいよ? 遣っても」
舞夢は、プッと、まるで唾を吐くように口を尖らせた。
瞬間、大柄の少年の頬に一筋の切り傷が走る。
「お・・・オマエッ!!」
「なァにィ? ビクビクしちゃって。エッチな事考えてるの?」
舞夢は上目遣いで頬を赤くする。
もちろん本気ではない。
相手が近寄らないと分かった上でのからかい。
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