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「何を作ってくださるんですか?」
買い物カートを押しながら問われ、食材から彼に視線を移して思わず笑ってしまった。
スーツを着たイケメンがスーパーで買い物カートを押している姿は、はっきり言ってミスマッチである。
「何が可笑しいのですか?」
怪訝な表情の彼にますます笑いが込み上げる。
「総一さんがあまりにも浮いているので…」
笑いを堪えながら話す私を、彼は少し不機嫌そうに睨んだ。
「楽しそうで何よりです」
その不機嫌な声に堪えていた笑いが吹き出した。
「貴女とは二度とスーパーに来たくありません」
おもいっきり不機嫌そうにそう言うから、目尻に涙が溜まるほど笑ってしまった。
「笑い過ぎですよ」
そう言った彼も可笑しそうに笑っていた。
「総一さんは何が食べたいですか?」
笑いが漸く治まり買い物を再開させるべく質問すると、彼からは何とも微妙な答えが返ってきた。
「私は食べられる物なら何でも良いですよ」
…『何でも良い』はよく聞くが、『食べられる物なら』ってわざわざ付けたのは、私の料理の腕を疑っているからか?
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