第 七 話

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帰宅し、キッチンに入った私は驚きを通り越し驚愕してしまった。 食器棚の中に朝まであった高級食器が一つ残らず綺麗に無くなり、その場所に先程買ったばかりの食器が綺麗に鎮座していたのだ。 …恐るべし、財閥御曹司の権力 「何か手伝う事はありませんか?」 スーツからラフな服へと着替えた彼がそう言いながらキッチンへと入ってきた。 「此処は私がするので、総一さんはお風呂へどうぞ。 ゆっくり浸かって、日頃の疲れを癒してきて下さい」 そう告げると、彼は何故か微笑んだ。 「…夫婦みたいですね」 「一応夫婦ですけど…?」 何を言ってんだろうと首を傾げると、彼は苦笑いした。 「一応、なので。 お風呂頂きます」 そう言い、バスルームに向かう彼に私はますます首を捻りながらその背中を見送った。 枝豆、唐揚げ、蓮根のきんぴら、だし巻き卵、焼き魚、居酒屋メニューを浮かべながら順に作っていく。 「手際良いですね」 不意に背後から声をかけられ、驚き振り返ると、濡れ髪の総一さんが立っていた。  
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