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「ちゃんと髪を乾かさないと風邪を引きますよ」
「私が風邪を引いたら、看病してくださいますか?」
「移るから嫌です」
冗談めかして言うと、彼も笑った。
「今日は優しい妻を演じるのではなかったのですか?」
「そうでした。
勿論看病してあげますよ。
但し、優しい妻は本日限りなので、風邪を引くなら今しかないですよ」
飛び切りの笑顔付きで訂正すると、彼は苦笑いした。
「髪を乾かしてきます」
彼を見送り、出来た料理をダイニングテーブルへと運んでいく。
料理を全て並べ終える頃、タイミング良く彼が戻ってきた。
「美味しそうですね」
「お口に合えばいいですけど…」
「優姫さんも日本酒を召し上がりますか?」
「日本酒は飲んだ事が無いので…」
「では、飲みやすい物を持ってきますね」
そう言うと、キッチンにある棚から徳利とお酒を取り出し、晩酌の用意を始めた。
全ての用意が整い、向かい合わせでテーブルに着くと、彼との初めての食事が始まった。
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