第 七 話

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「どうぞ」 徳利を差し出され、反射的に猪口を出すと、小さな猪口に日本酒が注がれ、それをテーブルに置いてから彼に向けて徳利を差し出した。 「ありがとうございます。 総一さんもどうぞ」 「頂きます」 優しく微笑む彼に促されるように、再び猪口を持つと初めての日本酒を口にした。 「如何ですか?」 「…日本酒は匂い同様、味もやはり独特ですね。 でも、想像していたよりも飲みやすくて美味しいです」 「口に合って良かったです」 微笑みながら安堵したように呟き、彼は料理に箸をのばした。 蓮根のきんぴらを口に運ぶ彼を、緊張しながら思わず凝視してしまう。 「……如何ですか?」 緊張気味の声で問えば、彼は優しく笑った。 「とても美味しいですよ」 その一言で体から力が抜けた。 「優姫さんは料理がお上手なんですね」 「意外ですか?」 「意外でした」 姿勢正しく、綺麗な箸使いで焼き魚を解しながら彼は穏やかに笑った。 「貴女の様なお嬢様は初めてです」  
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