第 七 話

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…煩い……頭に響くから止めて… ズキズキと頭痛を引き起こす音源を探す。 枕元に置かれた物が手に触れ、音を止めるべくボタンを押した。 「…もし、もし?」 寝起きで掠れた声、自身の声もまた頭痛を引き起こし、思わず顔をしかめた。 『もしもし?専務ですか?』 怪訝な声が問うが、酷くなるばかりの頭痛に言葉の意味を理解出来ない。 「…きもち、わる…」 酷い頭痛に吐き気まで起こり、枕に顔を埋めた。 「もしもし」 握り締めていた受話器が無くなり、横で誰かの声がする。 労るように頭を撫でられ、その心地良さに頭痛が少しだけ和らいだ気がした。 「私は今日も休みます」 「昨日は休めと騒いでいたのに、今日は出てこいと騒ぐんですか」 「解りました、気が向いたら出社しますよ」 「朝から煩い奴だ」 煩わしげな声が小さく呟き、頭を撫でていた手が離れた。 ……あ、止めないで 「苦しくないですか?」 優しい声が聞こえたかと思うと、俯せだった身体の向きを変えられた。 今度は背中を優しく撫でられ、吐き気がスーッと消えた気がした。  
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