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…あったかい…
心地良い温もりをもっと感じたくて、その温もりに身体を寄せる。
私の思いに応えるように、身体が優しく包まれた。
…気持ち良い…
その心地良さに再び意識が沈んでいく。
こんなにも目覚める事の出来ない朝はいつぶりだろうか?
あの人と初めて迎えた朝の記憶がぼんやりと浮かぶ。
その朝を懐かしく感じる心に寂しくなった。
滲んだ涙が零れ落ちることなく、薄い布に吸い込まれていく。
静かに泣く私を慰めるかのように頭を撫でられる。
その優しい手つきにますます涙が滲んだ。
「優姫さんは犬と猫、どちらが好きですか?」
撫でる手はそのままに、脈絡無く問う声に一瞬にして目が覚めた。
…イヌとネコ?突然何を……って、ちょっと待ってっ!
枕にしている腕、腰に回され抱きしめる腕、顔を埋めていた硬い胸板、
心地良いと思ったモノの正体に、サーッと血の気が引いていく。
何がどうなってるわけっ?!
昨夜の記憶を手繰り寄せるが、何一つ出て来ない記憶にますます血の気が引く。
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