第 七 話

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考えたくない現実に現状把握を強制終了し、パニクる頭を無理矢理空っぽにする。 それでも浮かんできたのは、 「……もう、お嫁に行けない…」 「それは、人妻が使う台詞ではないですよ」 呆れたような声が側で聞こえて、今すぐ昨夜の自分を呪い殺したくなった。 …なんて事… 私のバカっ! 酔って記憶を無くして、目覚めたら男の腕の中なんて…… こんな醜態、自分がするとは思わなかった。 「…お嫁に行けない」 「ちゃんと私が責任を取るので御安心下さい」 「夫がどう責任を取ってくれるんですか?」 「一生、私の妻にしてさしあげます」 「それは全く嬉しくない責任の取り方ですね」 現実逃避を試み、バカな会話を繰り返す。 「しっかりと目が覚めたようなので、そろそろ犬と猫、どちらが好きか答えて頂けますか?」 ………それ、重要なの? 今直ぐしなきゃいけない質問なの? 「…それ、重要な質問なんですか?」 「ええ、出来ればどんな種類で、どんな性格で、どんな顔が好きか、事細かに教えて下さい」  
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