第 七 話

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新婚夫婦が初夜を迎え、目覚めてからする会話が、犬と猫の話しって。 「……私、現実逃避に成功したんだ」 「間違いなく、今が現実ですよ」 「………………もう少し眠りたいので、出て行ってもらえますか?」 「此処は私の部屋なので、私は出て行きません。 それに、まだ眠るんですか?もう十四時を過ぎていますが…?」 この人はどうしても逃避の邪魔をしたいらしい。 要らない情報を次々と… 「犬と猫なら犬が好きです。 特に大型犬がいいですね、犬種を指定するならゴールデンレトリーバー。 もっと細かく言うなら、亜麻色の従順そうな犬がいいです」 昨夜の醜態を無かった事にして、彼の脈絡の無い質問に答える。 そうすることで僅かだが、現実から目を背けた。 「亜麻色のゴールデンレトリーバーですか…」 「ところで、その質問に何の意味があったんですか?」 「貴女の好みを知りたかっただけですよ。 そんな事より、ご気分は如何ですか?」 …そんな事より、って、さっきはその質問が重要な質問だって言わなかった?  
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