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「気分は最悪です。
こんな目覚めの悪い朝は生まれて初めてです」
「今はもう朝じゃないですけどね」
寝起きで彼と会話するのは、酷く疲れる事だと今知った。
「何か飲みますか?」
「…水が飲みたいです」
「解りました。
持ってきますから、優姫さんは待っていて下さい」
ベッドから下り、部屋を出ていく彼を見送る。
濃紺のパジャマを着た彼の後ろ姿がドアの向こうへ消えたのを確認してから、身体を起こし自身の服装を確認する。
服は昨日着ていた服のままで、しわが目立つが、衣服の乱れが一切ない事に小さく息を吐いた。
「何もしていませんよ」
不意にかけられた声に驚き、身体をびくつかせながらドアの方を見ると、グラスとミネラルウォーターのペットボトルを持った彼が苦笑いしながらこちらを見ていた。
勘繰っていた事がばれカッと顔が熱くなり、ばつが悪く直ぐに顔を逸らした。
「昨夜、優姫さんがダイニングで寝てしまわれ、貴女の許可無く貴女の部屋へ入るのは気が引けたので、私の部屋へ運びました」
ベッドの側に立つと、彼はグラスに水を注ぎ、私は差し出されたグラスを受け取った。
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