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「…ありがとうございます。
ご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした」
御礼と謝罪を口にすると、彼はまた苦笑いのような笑みを浮かべた。
「食事はどうされますか?
何か召し上がりたい物はありますか?」
「食欲がないので、食事は後にします。
……総一さんは何か召し上がったのですか?」
「いいえ、優姫さんが後でと言うのであれば、私も後にします。
食欲が出てきたら、御一緒させて下さい」
微笑む彼に困ってしまう。
「私の事など気にせずに、何か召し上がっては如何ですか?
もう、お昼も過ぎているのでしょう?」
「では、優姫さんも食事にしましょう」
…数十秒前の会話を忘れたわけ?
「いえ、私は後で…」
「では、私も後にします」
…………何故?
「私と一緒に食事を取るは嫌ですか?」
「いえ、そういう訳では無くて、私に合わせてもらうのが申し訳ないので…」
「私は貴女と一緒に食事をしたいので、嫌でないのなら私の我が儘を聞き入れて下さい」
珍しく低姿勢な彼に頷くほか無かった。
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