第 二 話

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「二人は以前から付き合いがあったのか?」 父の疑問は尤(モット)もである。 常識的に考えて、初対面したお見合いの翌日に結婚を申し込む人はいないだろう。 「いえ、優姫さんにお会いしたのは昨日が初めてです」 馬鹿正直に答えたこの人は、結婚までの経緯(イキサツ)を全て馬鹿正直に答えるのだろうか? 「お二人が驚くのは尤もの事だと思います。 昨日初めて優姫さんにお会いし、一目で優姫さんに惹かれ、一緒になりたいと強く思った自身の気持ちに私自身戸惑いました」 次々に飛び出す嘘に呆れていると、彼が不意に私を見た。 …何? 「ですが、優姫さんに私と同じ気持ちだと言われ、互いに強く惹かれ合っている事を知りました」 ………は? 私がいつ、貴方に惹かれたと? 全く惹かれた覚えはありませが? 寧ろ、終始無表情に威圧的な態度の貴方に引きましたが? 「ならば、優姫も総一君との結婚を望んでいるという事か?」 父と母、そして彼の視線が一斉に私に向けられた。 ………ここは正直に話すとこよね?  
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