第 二 話

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三人が私の返事を待つ中、一際強い視線が私に突き刺さる。 私に突き刺さり、視線だけで脅すのは、言わずもがな彼の視線である。 「…私も華我御さんと同じ気持ちです。 お父さん、お母さん、彼との結婚を許して下さい」 「お願いします」 私の言葉に続くように彼が頭を下げた。 …お父さん、お願いだから簡単に許さないで… 強く願った思いは父に届いたと思いたい。 「総一君、頭を上げてくれ」 父の言葉に彼がゆっくりと頭を上げた。 「二人の気持ちは良く分かった」 …分かってないよ、絶対っ! 昨日初めて会った男との結婚をあっさり認めたりしないわよね? 「総一君」 「はい」 「本当に優姫でいいのかい?」 …ちょっと!その聞き方は私に失礼でしょっ! 「私は優姫さんがいいんです。 優姫さんしかいません」 …好きな人に言われたらときめく台詞よね。 「総一君、優姫を宜しく頼む」 ……有り得ない。 有り得ないっ!何あっさり認めてんのよっ!  
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