第 一 話

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「時間が無いので、手短に終わらせても良いでしょうか?」 無表情を崩さず、唐突に申し出られたが、その申し出の内容は願ったり叶ったりだった為即答で快諾した。 「では、直ぐにこちらにサインをお願いします」 無表情のまま差し出してきたのは紙とボールペン。 …わざわざ誓約書でも書かせるつもり? テーブルの中央に置かれた紙とボールペンを引き寄せ、紙をまじまじと見た私は自身の目を疑った。 …………眼科に行かなきゃマズイかも。 「……あの、これは冗談、ですよね?」 顔を若干引き攣らせながら華我御さんに問うと、華我御さんは無表情のまま返事を返してきた。 「いいえ、冗談ではありません」 にこりともしない相手に渇いた笑いさえ出てこなかった。 がしかし、笑えなくても冗談にしてくれなくては困る。 「……あの、私にはこれが婚姻届に見えるのですが…?」  
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