7280人が本棚に入れています
本棚に追加
泣いて笑って騒いだ後の帰宅は、いつもより一層私の気分を低下させる。
「真っ暗」
時刻は十時、彼は今日も帰宅が遅いようだ。
玄関から順に明かりを燈して行く。
リビングに辿り着き、全ての明かりを燈す。
室内は明るくなったのに、寂しさは増したような気がした。
「もう少しメグと一緒に居れば良かった」
此処に来てから増えた独り言。
広い部屋で響くことなく消えていく声は、ますます寂しさを呼ぶ。
ダイニングテーブルに置かれたままのブルーのノート。
「今日も声を聞かないまま終わるのね」
ペンを取りテーブルに着く。
ノートを広げ、三度目の交換日記で彼と会話。
「…んー、手紙っぽく書いてみる?」
ノートにペンを走らせる。
【お帰りなさい
お仕事お疲れ様です。】
書き出しは昨日と同じ。
【今日は友人に誘われ、カフェへ行ってきました。
総一さんは甘い物はお好きですか?
そこのカフェのケーキはとても美味しかったので、甘い物がお好きなら一度召し上がってみては如何でしょうか?】
最初のコメントを投稿しよう!