第 五 話

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泣いて笑って騒いだ後の帰宅は、いつもより一層私の気分を低下させる。 「真っ暗」 時刻は十時、彼は今日も帰宅が遅いようだ。 玄関から順に明かりを燈して行く。 リビングに辿り着き、全ての明かりを燈す。 室内は明るくなったのに、寂しさは増したような気がした。 「もう少しメグと一緒に居れば良かった」 此処に来てから増えた独り言。 広い部屋で響くことなく消えていく声は、ますます寂しさを呼ぶ。 ダイニングテーブルに置かれたままのブルーのノート。 「今日も声を聞かないまま終わるのね」 ペンを取りテーブルに着く。 ノートを広げ、三度目の交換日記で彼と会話。 「…んー、手紙っぽく書いてみる?」 ノートにペンを走らせる。 【お帰りなさい お仕事お疲れ様です。】 書き出しは昨日と同じ。 【今日は友人に誘われ、カフェへ行ってきました。 総一さんは甘い物はお好きですか? そこのカフェのケーキはとても美味しかったので、甘い物がお好きなら一度召し上がってみては如何でしょうか?】  
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