第 六 話

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『今どちらに?』 電話越しに聞こえてきたのは、久しぶりに聞く彼の声。 「大学に居ますが、私に何か御用ですか?」 『貴女の時間が空いているのなら、これから約束を果たそうと思いまして』 ……約束? 何か約束したっけ? 「約束、ですか?」 『はい、都合が悪いですか?』 「いえ、時間は空いていますが…」 …約束って何? 総一さんとした約束…あった? ………あっ!あったっ! 大事な約束っ! 「今日、離婚して頂けるんですかっ?!」 嬉々として問いかけたが、帰ってきたのは暫しの沈黙。 『………大学前へ迎えに行くので、そこで待っていて下さい』 「わかりました」 踊りだしたい気持ちで返事を返し、電話を切った。 何故、急に離婚する気になったのかはわからないが、離婚してもらえるなら理由などどうでもいい。 スキップでもしそうな程の軽い足取りで待ち合わせ場所へ向かった。  
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