第 六 話

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「…すみません」 定休日を知らなかったとはいえ、忙しい中時間を作ってくれた彼に申し訳なさが募る。 「貴女が謝る事ではありませんよ。 後日、また来ましょうね」 「はい」 優しく微笑む彼に頷き返すと、彼は眼を細めて柔らかな笑みを浮かべた。 「夕食は何が宜しいですか?」 一緒に食事をするという発想が無かった為、何を問われたのか直ぐには理解が出来なかった。 「…あの、お仕事はいいんですか?」 「働きすぎだからと無理矢理休みにされたので、今日は仕事が出来ないんです。 明日からはまた仕事ですが…」 前を向いたまま、苦笑い混じりにそう返してきたが、これは笑い事ではない。 「折角頂いたお休みなのに何しているんですかっ! 今すぐ家に帰ってゆっくり休んで下さいっ!」 怒鳴るように言うと、彼は驚いた表情を私に向け、次にお馴染みの怪訝な表情を浮かべた。 「…何故、私は怒られたのでしょうか?」 また怪訝な顔ですか… そんなに私の言動は理解し難いですか?  
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