第 六 話

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「今日のお休みは体を休める為に、わざわざ下さったお休みですよね?」 ゆっくりとした口調で問うと、彼の右の眉がぴくりと僅かに動いた。 「…ずっと多忙だった為、秘書が息抜きをしたかっただけだと…」 言い訳染みた言い方は、何かを感じ取ったからか。 「秘書の方が息抜きを欲しがる程多忙だったという事は、貴方はそれ以上に多忙だったという事ですよね?」 口調を変えずに話しを続けると、彼の表情が引き攣っているような表情へと変わった。 「…何故、怒っているのか聞いても宜しいですか?」 「駄目です、今話しているのは私です。 私の質問にちゃんと答えて下さい」 「…貴女の話しをちゃんと聞くので、取り敢えずそのじわじわと責めるような態度と口調を変えて頂けませんか?」 初の優勢状況に楽しくなってきた。 「責められていると感じるのは、疚しい感情があるからでは?」 「………妻に浮気を追求される夫の気持ちが、初めてわかったような気がします」 「浮気したんですか?」 「…要点がずれていますよ?」  
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