第 六 話

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「総一さんは夕食は何が食べたいですか?」 「ヒステリックな妻はもういいのですか?」 笑いを含んだ柔らかな声。 あのネタがお気に召したようだ。 「ヒステリックな妻は浮気現場を押さえた時にやらなきゃつまらないですし、今日は優しい妻を演じてみようかと」 「…何か企んでます?」 怪訝な顔にちらりと寄越された視線。 この人の中の私のイメージって、相当悪い? 「何も企んでいません。 貴重な休日をゆっくり過ごして頂こうと思っただけです。 ですから、夕食はマンションへ帰って私が作ります」 そう言った私に再び怪訝な顔が向けられた。 「……料理が出来るのですか?」 ……出来ないように見えますか? 「それはその眼と舌で確認して下さい」 「…明日は休めないのですが…」 それはどういう意味ですか? 私の作った物でお腹を壊すって事ですか? 「材料を買って早く帰りましょう、ね?」 絶対にぎゃふんって言わせてやるっ! 「…やっぱり怒るんですね」  
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