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─── † ───
うん、幸せだ。
俺に限らず時折ふとそう思う事がある思うのだ。
ふとした瞬間の幸せを噛みしめたくなる事があると俺は思っている。
それは別に世界中の価値観が自分と同じだと自惚れている訳ではない。
いや、むしろ俺の価値観というのは世界中を探しても同じ人物を見つけるのが相当に困難だと思われる。
自分よりも他人を優先して動くのではなく、自分のために他人を優先して動く方がこの世界にどれほどいるのか酷く疑問ではあるがそれはさておき。
ささやかな事で幸せを感じるというのは決して悪い事では無い。
緑が息吹くのを見つけたとか、空がただ青かったとか。
そんな事や。
友人との会話を思い出したとか、社会的に認められたとか。
そうした事。
幸せはそこら中にあるのだと幸福な時なら気付く事が出来る。幸福では無い物はソレが幸せとすら気付けない。
故に俺は幸せなのだろう。
こうして友人と話し、ギルドから学園へ帰る事が出来た事が。
学園でとうとうイシュト先生に呼び出しを喰らい、ギルドでの出来事を説明させられた事も。
あぁ、やはり面倒ではあったが人との関わりとは尊く何よりも素敵なのだと再認する。
だからこそ俺は決める事が出来た。
自分と他人を結び付ける“友達”という絆が俺と妹を守ってくれるだけの強度になった。
俺の掌は小さく、俺の手は短く、俺の脚は遅く、俺の視界は狭く、俺の感覚は鈍い。
だから守れないと思う事が未だに多い。
助けられないと思う事が未だに無くならない。
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