変化――狂気――勝敗

18/18
6214人が本棚に入れています
本棚に追加
/237ページ
まるで、彼等がやったように。 その考えに至った瞬間、鳥肌が一気に走った。 とどのつまり、金色の何かは見ていたのだ。あのチームが瓦解するまでの流れを、付けいる隙が生まれるまで気付かれぬままに。 何だというのだ、アレは。 一年の中でそんな奴がいたのか。と周囲の奴に問いただしたいが、耳障りなソレの中には明確な情報はない。 一人の生徒が空中高くに吹き飛ばされた。 ソレを追う様にもう一人が吹き飛ばされた生徒に叩きつけられる。 金色の何かは二人を空中に吹き飛ばしてからも油断なく、躊躇なく駆け巡る。 森へ隠れ、閃光のように駆け抜け、生徒が空を飛ぶ。 最終的に既に敗北し倒れていたハズの生徒までもが空を飛び続けていた。 落ちる瞬間に空を舞い、落ちてくる生徒を空へ上げる。 蹂躪。 虐め。 そんな言葉が脳裏を掠めた時、ふと思いつく名前があった。 あんな事を出来る奴ではない。それが分かっていながら、それでも一度掠めたその考えはゆっくりと一つの名前を具体化していく。 ぴたり、と金色が動きを止めた。慣性とか制動とか無視した様な静止は、飛んでいた生徒達の落下を意味している。 次々に落ちてくるソレ等の中心で棒立ちのままのソレの顔を知らない奴はここにはいない。 あちらの音が聞こえないのは今更だが、此方では皆が声を失った様に静寂に包まれていた。無言にして無音の中で小さく彼女の声だけが響く。 「流石は兄さんです」 と誇らしげに語るその言葉に血の気が引いた。
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!