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詠唱を終えると大きく深呼吸をし、瞼を開いた先には先程までの疲れきった顔からは想像も出来無いほど生気に満ち溢れていた。
彼の身体には傷一つ付いていない。
強い意思に満ちた表情で立ち上がると、近くにあった錆付いた鉄の棒を拾い、魔法の詠唱を始める。
言葉が力となり、魔力が物質と同化し始めると、鉄の棒が光り輝きながら形を変え……
その棒はうっすらと青白く輝く、美しい剣と変化した。
“造成魔法”……魔法剣士だけが成せる技である。
少年は意を決したように走り出す。
瓦礫と化した家々を通り過ぎると、元は広場だったのだろうか? 広く開けた場所に出た。
その中央には小さな一つの影。
「おい! 賞金首!」
目の前に見える“影”に少年は吠えた。
賞金首と呼ばれた小さな影……
雲が流れ月明かりに照らされたその影は、まだ未発達な小さな身体に不釣り合いな巨大な剣を背中に背負う、美しい金髪の少女だった。
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