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「妾…人妻になってんやんか」
そん時の彼氏の顔は今でも忘れん。
ほんまにポカーンとしてて阿呆みたいやねん。
人間ほんまに有り得んことが起きたら頭ん中フリーズして顔の表情筋の運動忘れるんやろか。
「景、どういうこと?浮気してたってこと?俺遊ばれてたの?」
寂しそうな泣きそうな顔で言う彼氏に罪悪感が隠せんくなった。
「違うねん。旦那がな…電話したいから結婚してくれって言うてきてんやんか。彼氏は別におってええし、彼氏との間に子供が出来たら養育費もだすから電話だけのために結婚してくれって言うてきてん」
「…は?意味分かんねんだけど」
妾はそれまでの経緯なり何なりを事細かに話した。
余計顔がポカーンとなった彼氏。
おもろいからケタケタ笑うとお前薬でもやってんのか?と怒られた。
それから妾は捨てられるんやろかとか別れるんかなとか思って面倒くさくなって溜め息吐いたら彼氏はまた泣きそうな顔になって、というか半泣きで妾の膝にすり寄ってきて、
「ごめん、景。旦那がいても別れたくない。だから溜め息とかつかないで」と縋られた。
ワンコちゃん可愛い可愛い。
可愛い妾のワンコちゃんやで。
妾はすり寄ってきた彼氏というワンコちゃんの頭を丁寧に撫でたのやった。
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