mission3

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ゆっくりと声のしたほうに邦正は目を向ける。目の前にはあの頃よりも成長した健太が不気味な笑みを見せて立っていた。 『けっ、健太…くん』邦正の声は震えていた。 『覚えていてくれたんだ』と言いながら健太は邦正に歩み寄ってきた。 健太が邦正の目の前まで来ると改めて身長の差を邦正は感じた。頭ひとつ分背が高い。 『邦正お前全然成長してないな』 『健太くんどうしてここに?』 健太はなれなれしく邦正の肩に手をまわして、 『まあ中に入って話そうぜ』 邦正は何も言えず部屋の鍵を開けた。 「おい邦正」という声で邦正は我に返った。 気付けば健太が助手席に座っていて近くのコンビニで買ってきたパンをかじりながら邦正を見ていた。カーステレオのボリュームをまわして邦正は音量を下げた。 健太は上目遣いで言った。 「カネ用意できた?」 「ちゃんと返してくれるんだよね?」 「返すさ」 邦正は銀行の封筒に入った現金を懐から出した。 健太は邦正の手から封筒を奪うようにとると現金を封筒から出して数えてから財布にしまった。
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