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玉山健太は景品交換を済ませると現金を財布に入れた。
「16万か…」久しぶりの大勝だった。煙草を銜えると火を点けた。空に向かって煙を吐いて、もう一度だけ煙草を吸って捨てた。ちょっとした贅沢のつもりだった。
健太は駐車場に向かって歩いた。パチンコ屋の駐車場は看板のネオンの明かりだけで薄暗かった。
「すいません…」
突然背後から声を掛けられて健太の肩が跳ねた。振り返ると健太の目の前に女が立っていた。薄暗いが顔は確認できた。目鼻立ちのはっきりとした綺麗な女だった。健太の好みのタイプと言っていい。
「なにか…」
「あの…玉山健太さん…ですよね」
突然見ず知らずの女に名前を言われて健太は驚きを隠せなかった。学生時代の同級生かと記憶をたどったが合致する相手はいなかった。とにかく話を合わせて探るしかないと健太は思った。
「そうですけどあなたは?」
「あっすいません名乗るのを忘れていました」と言って女は微笑を浮かべる。
「黒猫ヒットマンズです」
「はぁ?」
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