693人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
波の音がする。一定のリズムで耳に届く波の音は心地よかった。夢でも見ているようだった。
このまま眠っていようかと思ったが瞼をゆっくりひらいた。雲ひとつない青空が視界に広がった。上半身を起こす。少しだけ頭痛がした。
次の瞬間玉山健太の記憶が警報を鳴らした。
──そうだ俺襲われたんだ。
健太は立ちあがった。健太の目の前には記憶にない景色があった。
──一体ここはどこなんだ?
目の前は海。振り返ると小高い丘のようだった。
歩き出そうとして何かに躓く。目を向けるとそれほど大きくもない箱があった。蓋を恐る恐る開ける。
──本だ…。
一冊手にとってタイトルに目を通す。
──食べられる雑草大百科。
「なんだこりゃ?」と言いつつもう一冊を手に取る。
──無人島生活の心得。
その本に封筒が挟んであった。震える手で封筒を抜き取ると中身を確認した。紙が入っていた。紙を抜き取って広げると四文字の言葉があった。
「がんばれ」
最初のコメントを投稿しよう!