693人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
龍二は顔だけ越坂部に向けて言う。
「ミサキちゃん先週当てたっすよ」
「そう言えば万馬券だったよな」まことが言う。
「そんなのたまたまだビギナーズ何とかって奴だよ」
「確か今月は三週連続的中じゃなかったっけ?スポーツ新聞に載ってたよなぁ龍二」
「昨日のスポーツ新聞すね」
「マジか」と言って越坂部は唾を飲み込んだ。
「たまたまだ…たまたま」越坂部は負け惜しみのように言った。
ミサキの予想は続く。
『今回のミサキの予想はジャジャン!』と言ってミサキはフリップをめくる。
ミサキはテーブルの下で足を組み替えた。テレビ局側が意図的にテーブルの下が見えるようにカメラの位置を固定しているのだろう、ミニスカートがら出た足はすらりとして美しい。
「みっ、見えた!」龍二が興奮して叫ぶ。
「ちくしょう見逃した」
競馬新聞を見ていたまことがテレビ画面を見て悔しがる。
「どうしたんだ?」越坂部が訊く。
「ミサキちゃんのスカートの中が足を組み替えるときに見えたんすよ」龍二の興奮は収まらない。毎回これを楽しみにしているようだ。
最初のコメントを投稿しよう!