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「早くスタジオに戻せ!」と言いながら越坂部はテレビを揺する。まださくらに気付いていない。
「兄貴…ちょっと兄貴」まことが、なだめるように言う。
「まこと!龍二!お前らも…」と言いながら越坂部は後ろを振り返った。
──さくら…。
「お前らもなに?」さくらが軽蔑の目で越坂部を睨む。
越坂部はテレビをテレビ台に戻すと咳払いを一つして言った。
「レースが始まらないから少し興奮してしまったようだ、ハハハ…」テレビを軽く叩く。
「どうだか」さくらの目はまだ疑っている。
「何か用なのか?」越坂部は話題を変えようと訊いた。
さくらは思い出したような顔をして言う。
「そうだ忘れるところだった実はさぁ…」
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