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会議室に越坂部が入ると龍二のとなりには既に畑山まことが数年間蓄えた脂肪の塊をソファーに沈めて座って待っていた。越坂部は二人と対面するようにソファーに座ると咳払いをし、顎ひげを擦りながら話しづらそうに始めた。
「実はその…化け猫一門から外されることになった」
「えぇ…そんな…」と言ってまことはがくりと肩を落とした。
越坂部は続けた。
「これだけ失敗するとさすがになぁ…」
龍二は唇を噛み、
「で、これからどうするんすか兄貴」
越坂部は二人を見てから深く息を吐くと、
「化け猫一門から外された以上単独でやっていこうと思う」と言った。
まことは不安そうな表情で、
「兄貴、一門に属さず単独で動いて大丈夫なんですか?」
越坂部は膝に肘をついて前かがみになって、
「化け猫一門からは了解を得ている…というより単独で動かれても一門には何の影響もないから勝手に動いても構わないと言われたんだ」
三人は黙ってしまった。そのとき階段を上がってくる足音がして三人はドアに目をやった。足音はドアの前で止まりコンコンと軽快にノック音がした。
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