mission3

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山口邦正は車の運転席で溜息をついた。カーステレオのボリュームに手を伸ばす。音量を上げると次に座席のレバーに手を掛け引いて背もたれを倒した。 助手席側の窓を叩く音を聞いて邦正は目を向けた。目の前にいた男の顔を目にしたとき中学校時代のいやな思い出が蘇った。 邦正は中学に入ると同じクラスの玉山健太にいじめを受けた。理由は分からない。身体も小さかった邦正は抵抗することができず毎日のように殴られてはカネをせびられた。そのことを誰にも言えず結局三年間いじめは続いた。 邦正は健太から逃れるように健太とは違う高校へ進学した。就職も自分を知る人のいない地域を選んで就職をした。 もうアノいじめの記憶は薄れ始めていたころだった。 健太が邦正の前に現れた。 仕事が終わって邦正が借りているアパートの部屋のドアの前まできたときだった。 『チビ山』 邦正はその言葉を聞いて背筋が寒くなるのを感じた。いじめの記憶が薄れ始めているとは言ってもその言葉は邦正の心に深く刻まれていたのだ。
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