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mission4
黒猫商店街会議室。
午後3時になって越坂部はテレビのチャンネルを競馬番組に合わせた。テーブルの上に競馬新聞が広げられ馬柱の馬名の部分に赤ペンで印がいくつかつけられている。
「兄貴今日は大丈夫ですよね」まことは確認する意味で訊いた。
テレビ画面を見ていた目をまことに向けて越坂部は言う。
「大丈夫だ、しっかりと予想した結果の買い目だ、銀行レースと言ってもいい」
龍二は口を尖らせて言う。
「ホントっすか?前回もそう言って外したじゃないっすか」
「バカ言え、あれはゲートが開いた瞬間、本命が落馬したじゃないか、落馬しなければ的中していたはずだ!」
「ミサキちゃ~ん」龍二はテレビにくぎ付けになっていて、鼻の下が伸びている。
「聞いているのか龍二」と越坂部が訊く。
「ハイハイ」テレビを見つめたまま龍二は答えた。
テレビ画面ではグラビアアイドルの早乙女ミサキがフリップを手に予想を語っている。競馬番組の視聴率稼ぎのためのアシスタントだ、予想は素人に近い。
「龍二そんな素人の予想聞いてどうするんだ」と越坂部は鼻で笑って言った。
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