mission1

1/56
693人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ

mission1

黒猫商店街はほとんどのテナントがシャッターを閉め人通りもほとんどない。もとから買い物客の数は年々減少傾向にあったのだが郊外に大型ショッピングモールができると一気に人が流れてしまって店舗数の減少にとどめを刺した。そんな黒猫商店街の一角に黒猫商店街会議室はある。 黒猫商店街を不機嫌そうにパンチパーマに黒のジャンパーを羽織った長身の男が煙草を吹かせて歩いている。黒猫商店街会議室入り口と書かれた看板の前に男は立つと、煙草をぷっと吐き捨てると靴の爪先で踏み消して会議室への階段を上がろうとした。 「こらーっ、龍二!」と背後から聞き覚えのある声で鳥山龍二は、怒鳴られた。 龍二は振り向きバツの悪そうな表情で、 「なんだ…兄貴すかぁ…びっくりした」 越坂部雄三は眉間に皺を寄せて深く息をつき、 「煙草をポイ捨てするなって何度言ったらわかるんだ、大体お前はだ、な」 まだ続きそうだったので長くなる前に龍二は遮って、 「すんません…兄貴」と言って両手を合わせ謝ると吐き捨てた煙草を拾って、階段を上がって行った。 越坂部は大きく息を吐くとやれやれと言った表情で龍二の後に続いた。
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!