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この先ユクモ村。
そんな看板が立っている。
プリニーはここまで来るのに必死だった。
恐竜のような生き物がものすごい勢いで追いかけてきたからである。
「勘弁するッスーー!」
追いかけてきているモンスターはシャギィ。
薄いピンク色の肌をした恐竜のような生き物だ。
爪は鋭く尖っており、その爪で引き裂かれたら、…プリニー程度なら一撃で葬れるだろう。
「…あの看板は…。そうッス!思い付いたッス!」
そう言うと後ろを振り返り戦闘体制にはい──
「数が…増えてないッスか?」
──ろうとしたがこのような疑問が出た。
最初は二頭だけだったはずだったため抵抗できると思ったのだろう。
しかし、現実はそう甘いものではないとラハールの城の世話をするようになって以来思ってしまった。
「なんで十頭になってるんッスかーーー!」
またもや大きな声で叫んだ。
これで誰か来ればいいのだがそれまでもつだろうか。
そして予想は的中し、プリニーはシャギィの爪に当たり、倒れ込んでしまった。
「もう…無理なんッスかね」
そう言ってそっと目を閉じるプリニー。
今まで色々あったなぁと思い出すプリニー。
ラハールに邪魔だと言われて城から追い出されたこと。
エトナのプリニー落としの技の時、そのプリニーに選ばれてしまったこと。
時間に間に合わず、ヴァルバトーゼに恥ずかしい告白をしたこと。
あぁ、どれもが走馬灯のように過ぎていった。
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