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目が覚めたとき、リンはひとりでした。
昨日もひとりで、一昨日もひとり、去年もひとりで一昨年もひとり、その前も、その前もその前もずっとひとりでした。
二人でいたこともずっと前にはありました。しかしそれは、「ずっと」が三回つくくらい前のことで、リンはもうその人の顔も、声も、膚の温もりも忘れてしまいました。
「クゥ……」
リンが覚えていることはたった一つ。その人の名前だけでした。たった一つの、大切な思い出。
過去の記憶。
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