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それは一瞬のことでした。
誰も何も感じられませんでした。苦痛も後悔も、今まで自分が生きていたという事実も、記憶も、言葉も、心情も、思い出も、何もかもすべて。
すべてがなくなりました。それはまるで。初めからそこに存在していなかったかのように。
リンただ一人を残して。
クゥが消えてしまった夜も、空がなくなってしまった朝も、世界が真っ暗になってしまった夜も、一緒に暮らしていた飼い犬が消えてしまったその日も、リンただ一人を残して過ぎ去りました。
誰も彼も、みんなみんな消えてしまいました。
透き通った波も、綺羅の砂金も、生い茂る森も、硝子でできた青いビーダマも、甘いホットケーキも、何気ないすべてが消えてしまいました。
リンただ一人を残して。
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