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相変わらず、俺の前では毒舌ぶりを発揮する相方。
もう慣れたけど。
ちなみに、一磨の言う“主食”とは目の前に広がる菓子のことである。言わずもがな。
水分で膨れた胃のあたりをさすりながら起き上がった俺の向かい側には、クッキーやらチョコレートやらを黙々と食べ続けている一磨の姿があった。
なんなんだ、このギャップは。
普段めちゃくちゃクールなやつが、無心で甘いお菓子を口に運んでるなんて……。
まぁ、“必殺王子様スマイル!白馬に乗った絶世の美男子”“女の子の憧れ!みんなの王子様”とかいう一面しか知らないファンにはたまらない光景なんだろうけど。
言っておくが、これは雑誌に特集で組まれてたときのキャッチコピーだ。
こんな痛いフレーズ、俺が考えつく訳がない、うん。
「それにしても、気になるな……」
苦笑しながら目の前の様子を見ていると、チョコレートに伸ばしかけていた手を止めて、一磨が独り言のように呟いた。
「柊千佳って女。お前の正体バレたんだろ?」
「バレたっていうか……昔呼ばれてたあだ名で呼ばれただけ」
「知り合いだったのか?」
「いや、どうだろ。俺のこと“はるちゃん”って呼んでたのは1人しかいないんだけどさ。でもそいつは柊じゃなくて……」
「なんだそれ」
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