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呆れたような表情で再びお菓子に手をつけた一磨だったが、結局、それ以降柊について聞いてくることはなかった。
はるちゃん、か……。
なんか懐かしいな。
あれから10年もたったんだ──
─*─
「おおっ! 三崎っ、もう大丈夫なのか?」
翌日。
昨日と同じ格好で教室のドアを開ければ、進藤が朝から超ハイテンションで、かつ少しだけ心配そうに声をかけてきた。
そうだ、昨日は仕事だったから、気分が悪いって言って早退したんだっけ。
「大丈夫。心配かけてごめんなー」
そう言って笑って席に着くと、今度はびっくりした様子の進藤。
と思えば、すぐに満面の笑みを浮かべて……
なんなんだ、こいつの顔は。
百面相かよ。
……なんて、さすがに口に出してはツッこまないけど。
「お前、やっぱ面白いなー!」
「……そう?」
「見た目と中身が思いっきり逆! なんか近づきづれーと思いきや、話してみると案外あっさり!みたいな」
そりゃあそうだろ。
見た目は作ってるんだし。
でも、なんだろ。
外見じゃなく、中身で俺を認めてくれた気がするっていうか……。
「ありがと」
なんとなくこっぱずかしい気分になった俺は、進藤から目をそらしながら小さく呟いた。
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