1

21/35

4408人が本棚に入れています
本棚に追加
/219ページ
全校生徒が毎日ここで昼食をとるから、利便性向上と時間短縮のために、食事代は月末にまとめて口座引き落としっていうシステムらしい。 しかも、すべてのメニューはデザートまで付いて一律500円。 それなりに量もあるし、有名シェフ雇ってるらしいのに、こんな安価でいいのだろうか……。 そんな疑問を感じながらキョロキョロとあたりを見回し、空いている席に適当に座る。 腰掛けた途端に味噌のいい香りが鼻をくすぐって、俺は無意識のうちに箸を握っていた。 やばい、和食やばい。 絶対うまいぞ、これ! 「置いてくなよーっ。てか、決めるの早すぎ! 記念すべき第1食目なんだぞ!? そんな適当に決めていいのか!?」 チーズがたっぷり乗ったハンバーグのランチセットを手にした進藤がぶーぶー言いながら俺の真正面に腰掛けたのと、柔らかいサバの身に箸が入ったのは、ほぼ同時のことだった。 「うっま! やっぱうま!!」 「こいつ聞いてねぇし……」 柔らかいサバの切り身に絡まる甘辛い味噌の塩梅も、煮加減もちょうどいい。 家庭の味とはまた一味違ってるように感じるのは、有名シェフの腕、なんだろうか。隠し味みたいな。 学校でこんなうまい飯が食べられるなんて、幸せすぎる。 編入してよかったぁぁぁ!!
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4408人が本棚に入れています
本棚に追加