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怒りの矛先をそばにいる担任に向けると(もとはと言えば遅刻してきた自分が悪いのだけど)、目にかかるくらい伸びた前髪の間から、メガネのレンズがギラリと光った。
一度も染めたことのない真っ黒な髪に、黒縁メガネ。
みんなが守らない学校指定の鞄や靴は、しっかり揃えてある。
もちろん、制服のボタンもしっかりとめているが、ネクタイだけはどうしても慣れなくてゆがんだままで……。
校門でため息をついたもう1つの理由は、これだった。
「なんだ男か。つか暗そうだな……」
「はぁー、可愛い女の子かと思って期待してたのによ!」
「なんかガッカリ……」
「最悪ぅー。あたし、イケメンだと思ってチョー期待してたのにぃー」
ほら来たぁ!!
クラス全員大ブーイングじゃねーかよ!!
さすがに彼らも大声では言わないが、コソコソ喋っていてもある程度は聞こえてくるのだ。
なるほど、いつも授業でこの場所に立つ教師達は、結構聞き流してくれてるんだな……。
なんて、妙に感心してみたりして。
「お前ら静かにしろー。じゃぁ三崎、お前は後ろの空いてる席に着け。授業始めるぞー」
「……はい」
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