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そりゃあ、俺だって今のこの格好を鏡で見たときは、もう苦笑するしかなかった。
街に出るときなんかはそれなりに変装してきたけれど、こんな風に変わったのは初めてで。
ただ、これでも少しはましになった方なんだ……。
とりあえず!
格好がこんなだから、せめて中身だけでも明るく!って思ってたんだけどな。
やっぱ無理か……。
っていうか、ここで緊張してどうするんだよ、俺。
これからの高校生活に不安を感じてため息をつきながら、俺は先生に言われた席へと向かった。
その途中、俺をひっかけるために足下に伸びてきた無数の足をうまく避けながら。
って、今時こんなのにつまづいて転ぶやついねぇよ!
漫画とか小説の世界じゃないんだからさぁ……。
心の中でツッコミをいれながら、自分の席に鞄を置く。
なんかもう、つっこんでないとやってらんねー。
「……んー、よく寝たぁ」
俺に与えられたのは、窓際1番後ろの席。
椅子をひいて腰掛けると、机に突っ伏して爆睡してた隣の席の女の子が、大きなあくびをしながらむくっと起き上がった。
そして、俺に気付いて一言。
「……あれ、はるちゃん?」
「……は?」
一瞬、クラスの空気が止まった。
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