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─*─ 「OK! 今日は解散!」 「お疲れ様でした」 「……おつかれーっす」 清涼飲料水の新CMを撮るとかなんとかで、俺は学校を早退してスタジオに来ていた。 普通の高校生がCMなんか撮らないって? それはそうなんだが、俺が普通の高校生じゃないなら話は別だ。 俺のもう1つの顔。 超人気アイドルデュオ“RISE(ライズ)”。 社長の話によると、女性だけならず男性にも受けが良く、今まで出したCDはすべてランキング1位という好成績をあげている……らしい。 まあとにかく。 撮影開始から3時間、宣伝するスポーツ飲料をひたすら飲み続け、同じ台詞をひたすら笑顔で言い続ける。 ……これが結構きつくて。 監督のOKがでた時には、思わず手で口を覆ったくらいだ。 ここでリバースはさすがにまずいし。 「それで、ハル。新しい高校はどうだった? 今日からだったでしょう?」 スタッフに渡されたタオルで口元を押さえる俺に、さっきまで同じことをしていたはずの相方が涼しい顔で尋ねてきた。 「……お前、よく平気だな。気持ち悪くねぇの?」 「なんで? そんなに飲んでないよ。たかが500ミリペットボトル20本くらいでしょう?」 たかが、って……お前何者だよ! 目の前の人物は今までの撮影に懲りもせず、残っていたスポーツ飲料を数本貰ってきていた。 色白な肌に、くっきりとした二重の目。 サラサラとした髪も自然な金髪で、パッと見ただけでは日本人かどうかさえ疑うほどの美男子。 一ノ瀬一磨(いちのせ かずま)。 名前だけはしっかり日本人。
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