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「こんなの荷物増えるだけなんだし、さっさと捨てちゃいなさいよ!」
莉乃が不機嫌そうに顔をしかめ、俺に指図する。
何怒ってんだ?俺何も悪いことしてない気がするんですが……。
とりあえず足元一体に散らばる物を鞄に無造作に突っ込み、履き慣れたスニーカーに足を通し、学校を出た。
元々鞄の中に入っていた俺の私物と、下駄箱の中の物を合わせて、鞄はパンパンに膨れ上がっていた。それを勢いで右肩に背負う。
……俺の予想が浅はかだったか!
結構……いやかなりの重さだ!踏ん張らなければそのまま後ろにバッターン。
だが外はポカポカ陽気で晴天。風も気持ち良いし、微かに春の匂いがする。
「あ~風超気持ちいい~! YAHOO!」
背伸びをしながら大地が大声で叫ぶ。まったく恥ずかしいヤツだ。YAHOOとか言っているところが特に。
まぁでも毎日大地のテンションに着いていけるのも、それに突っ込めるのも俺だけだろうな。
とか言ってみる。
俺は意味もなく全速力で走っていく大地を、未だ不機嫌な莉乃と一緒に追いかけた。
――俺はこの時、これから起こる衝撃的な出来事も、出逢いも、予想しているはずもなかった。
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