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「…で」
「お前はすーぐ、でって言う」
「だって気になるじゃん」
「なにが」
「どんな出会いをしたのか」
「お前もだろ」
久しぶりに登校なるものしてみた大学の昼休みに、学食のカレーを食べている友人に質問をぶつけてみた。
友人の隣には友人の友人がいて、そちらの彼の方が話の続きが気になるらしくそわそわしていた。
「増田、落ち着け」
「つーづーきーはー」
「耳元で叫ぶなよ」
「早く!気になる!」
「なにが」
「話の続きが!」
「はぁ…」
友人とその友人とのやり取りを見ていると、どこか懐かしい感じがした。
ずっと前にもこんなことをしている二人を見ていたことがあるような気がした。
この時は気のせいだろうと片付けたけれど。
「…なんかなぁ、会ったことあるような…ないような、感じだった」
カレーを食べている手を止め、友人はそう言った。
友人の友人は、「そんなんでわかるかー!」と叫んでいたけれど、何となくその気持ちを理解することは出来た。
運命などという言葉ではなく、きっと。
「…変な絆みたいなものを感じたんだよ」
どんと彼の肩にぶつかって、ごめんの後に何故か心配の言葉を言っている自分が居たのは、そうしなければならない何かを感じ取っていたからだ。
見えない、何かを。
「なんかさ、また会える気がするんだよね」
根拠はない。
遠い海を越えた先で出会っただけだけれど、この先彼にはもう一度会う気がしてならなかった。
だからあの時の自分は何も言わず去るのではなく、「バイバイ」と手を振って去ったのだ。
ドコかで。
会えると。
― もし世界の裏 離れても 途絶えない絆 感じて
→End.
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