さようなら、こんにちわ。

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* 「明日は朝の9時から雑誌の撮影が入ってるよ。迎えに着いた時メールするから、ちゃんと確認してね。」 「…はい。じゃあ、また」 「ん。気をつけてね」 他のマネージャーは普通こういう時に車を出すのだろうけれど、そういった野暮なことは面倒くさいので、初めから車での送迎を断っていた。 最近ようやくしつこさに折れ、迎えの時にだけ車を出すということになった。 面倒くさいというより、私生活に干渉をされたくないという気持ちの方が強いのだけれど。 * マネージャーと別れ、昼間の一番騒がしい時間帯の街中を逆走し、家路を急ぐ。 iPodから延びるイヤホンからはお気に入りの曲。 曲のリズムを刻みながら、陽気な足取りで家路を歩む。 それでも、ふとした瞬間に思うことがある。 この世界は、今日も冷たい。 世界も世間も他人も空気も、皆冷たい。 冷たく、色もない。 日常はまるで、無声映画を見ているような感覚さえ起こさせる。 普段街を歩けば見知らぬ人には後ろ指をさされ、仕事をすれば思っても言ってもいないことを週刊誌に書かれ。 最近ではありもしないスキャンダルを作られる始末だ。 この世の中に本当の自分を分かっている人物など、皆無だ。 最早、その必要性ですら感じていない。 _
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