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ヴェルニカの西側に位置する大きな森。ベルグの森。
森の精霊ベルグが、魔法で森を広げた伝説の残る、神秘的な森である。
その森を、軽い足取りで走っている少女がいた。
長く茶色の髪をおさげにし、赤いワンピースと黒い手袋、同じ黒のスパッツと、軽い布製の靴という装備を身に着けている。
少女の名は、シュナ・メイフィス。
ハンターギルド“バーニング・ルビー”に所属する、若きハンターである。
使うのは、魔法。
魔宝石“ハーストーン”を収集するために戦うハンターだ。
おっと、ちょうど魔法を使おうとしているようだ。
「ロア!出てきて!」
シュナが叫んだ。
すると、シュナの胸から、小さな小人が飛び出した。
それは、この世界の全ての住民に宿る妖精“フェアリー”であった。
この世界の魔法を使うには、このフェアリーが欠かせないのだ。
シュナは、くるりと、体を反転させて急ブレーキをかけた。
すると、シュナの目の前から、鳥の姿をした魔物が飛び出した。
魔物の名は、コカトリス。
大きさはシュナと同じぐらいで、黄色い嘴と黒くてフワフワとした鶏冠が特徴的な魔物だ。
「ヤロウ、シュナ!」
フェアリーがシュナに言った。シュナは、左の首筋に手を触れた。そこには、“F”と刻まれたタトゥがあった。
このタトゥは“フェアリータトゥ”と、呼ばれるもので、誰もが生まれつきもつものだ。
だが、刻まれる位置は、それぞれ違う。
顔だったり足だったり、腕だったり。
フェアリータトゥが在ることで、人々はフェアリーと交流することができる。
シュナは、呪文唱え始めた。
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