1章:女王の訓練

2/14
前へ
/30ページ
次へ
ヴェルニカの西側に位置する大きな森。ベルグの森。 森の精霊ベルグが、魔法で森を広げた伝説の残る、神秘的な森である。 その森を、軽い足取りで走っている少女がいた。 長く茶色の髪をおさげにし、赤いワンピースと黒い手袋、同じ黒のスパッツと、軽い布製の靴という装備を身に着けている。 少女の名は、シュナ・メイフィス。 ハンターギルド“バーニング・ルビー”に所属する、若きハンターである。 使うのは、魔法。 魔宝石“ハーストーン”を収集するために戦うハンターだ。 おっと、ちょうど魔法を使おうとしているようだ。 「ロア!出てきて!」 シュナが叫んだ。 すると、シュナの胸から、小さな小人が飛び出した。 それは、この世界の全ての住民に宿る妖精“フェアリー”であった。 この世界の魔法を使うには、このフェアリーが欠かせないのだ。 シュナは、くるりと、体を反転させて急ブレーキをかけた。 すると、シュナの目の前から、鳥の姿をした魔物が飛び出した。 魔物の名は、コカトリス。 大きさはシュナと同じぐらいで、黄色い嘴と黒くてフワフワとした鶏冠が特徴的な魔物だ。 「ヤロウ、シュナ!」 フェアリーがシュナに言った。シュナは、左の首筋に手を触れた。そこには、“F”と刻まれたタトゥがあった。 このタトゥは“フェアリータトゥ”と、呼ばれるもので、誰もが生まれつきもつものだ。 だが、刻まれる位置は、それぞれ違う。 顔だったり足だったり、腕だったり。 フェアリータトゥが在ることで、人々はフェアリーと交流することができる。 シュナは、呪文唱え始めた。image=432770489.jpg
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加