1章:女王の訓練

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シュナは、呪文を唱え始めた。 「我らに宿りし心の光よ!今、我らの願い、受け取りたまえ!」 すると、シュナのフェアリータトゥと、フェアリーのロアの服描かれた“F”が、青白く光り出した。 「発動せよ!聖良魔法!“ホーリーフラッシュ”!」 シュナが、呪文を唱えた途端、ロアの体から、目が眩むほどの光線が発射された。 光線は、真っすぐコカトリスに向かっていった。 コカトリスは、攻撃に耐えられる自信があったのか、微動だにせず、ただ、奇妙な叫び声をあげるだけだった。 光線は、その白い姿で怪鳥の魔物を支配した。 光線を浴びた魔物は、断末魔の悲鳴をあげ煙と化した。 すると、煙から何かが落ちた。 それは、透明で黄色をした、美しい魔宝石だった。 シュナは、それをつまむように拾い上げた。 シュナとロアは、くすっと微笑して 「やったぁ!キイセキ、初ゲットだよ!」 と、シュナがキイセキを掲げて叫んだ。 ロアも小さな腕を振り上げた。 「ヤッタネ!シュナ!キイセキハ滅多ニ取レナイノニ。スゴイヨ!」 「本当!…今日は運がいいな。遊びに行く途中で、いい物もらっちゃった!」 そう言って、シュナは腰に下げている宝石袋にキイセキを入れた。 そして、くるりと体の向きを変えると、また走り出した。 「サァ、早ク行コウ、シュナ。ミンナガ待マッテル。」 ロアが、シュナに寄り添うように飛んでいく。 「分かってるよ、ロア。…あぁ、でもまだ信じられない!」 シュナは、うっとりしながらベルグの森を抜けた。 次に広がる景色は、周りを水の流れる谷に囲まれた、孤高の白き城“ヴェルニカ城”だった。
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