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組に戻った私は、学校も転校し煌天と関わりを持つこともなく日々を過ごしていた。
生活は一変したけれどこれと言った身の危険を感じることもなく、ただぼんやりと時が流れて行くのを感じていた。
そろそろ桜の咲く季節になる。
学年も変わる。
時々鈍い痛みを心の内には覚えても、少しずつ煌天の記憶は風化して来ているようだった。
窓の外の朝日が完全に上りきってもしばらくぼうっとしていた私はノックの音に現実に返った。
「りん、起きてるか?」
知歳だ。
この家……本家に居て私に敬語を使わない人間はたぶん他に居ない。
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