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八年間の努力が認められて幼い頃からの夢だった凶悪殺人課の刑事になった国分寺晴海。
初出勤だというのに上司のモーニングコールでベッドから飛び起き、新車のミニバンに飛び乗り、東八道路を我が物顔で駆け抜ける。
府中警察署の駐車場にミニバンを乱暴に駐車すると一階から四階にある凶悪殺人課まで猛スピードで階段を駆け上がる。
二階の階段を登った頃には、ゴールを目前にしたしわくちゃな年寄りのような吐息を吐きながら手摺を頼りにゆっくりと昇る。
あぁ~お腹空いた、ラーメン食べたい…。
空腹を我慢しながら三階の踊り場から四階に続く階段に足を伸ばす。
『新人君は気楽でいいですね…上司のモーニングコールでご出勤とはいい御身分です…。』
西洋人のように目鼻立ちの整った顔にスラッとした長身の女性がコーヒーカップを片手に四階の踊り場から仁王立ちして見下ろす。
この人は秋元課長、新人教育のスペシャリストらしい…。
晴海は、深々と頭を下げて謝罪する。
『大変申し訳ありません…ぐふぅ〰…。』
物凄い衝撃が頭蓋骨を閃光の如く伝わった。
国分寺晴海はくらくらと手摺にもたれ掛かる。
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