愛するモノには沢山の桜を口に詰めてあげる

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季節は冬から春に変わり、夜空を彩る星も夏の星座に変わり初めていた。 その夜空を眺めながら疾走と野川公園を走る天野海翔は中学校のマラソン大会を控えているため、練習に勤しんでいる。 『さむ~。』 学校の校章を右胸に縫い付けた耐寒性のジャージを身に纏っても、手や顔に当たる風は寒い。 耳元を過ぎていく風は冬の名残を残しているのに、地面を歩踏み締めた時の風圧で桃色の花びらが舞い、頭上を通り抜けていく。 その光景を女子が見たらロマンチックな恋愛小説のワンシーンを想像するはず。 羨ましく思えるのかもしれない。 でも…俺にとっては鬱陶しいだけだ。
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