愛するモノには沢山の桜を口に詰めてあげる

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頭上で揺れる物体の正体、尿が降ってくる理由を瞬時に理解した。 どうしよう…どうしよう…どうしよう…。 やがて、雲に遮られていた月明かりが辺りを照らす。 木に吊るされた物体も例外ではなく、木々の枝葉をすり抜けた明かりに照らされて首に巻かれたロープと瞳孔が開いた眼で睨む、白いシャツ姿の男がギシギシと揺れる。 ただし…吊るされているのは一人だけじゃない。 五歳ぐらいの男の子と同じ歳ぐらいの女の子。 意味わかんねぇーよ…家族揃って首吊りかよ。 これは一家の無理心中なのだろうか、三月から四月は自殺者が多くなる。
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